X-T20で晴天時のホワイトバランスについて考えてみた。 / 富士フイルムのJPEG撮って出しを考えるシリーズ Vol.2

富士フイルムのJPEG撮って出しをもっと良くしていこうと試行錯誤したことを書いていくシリーズ第二回です。

今回は引き続き「ホワイトバランス」について。前回はオートについて色々なシーンで探って見ましたが、今回は「晴れ」のシーンを掘り下げてみようと思います。

晴れのシーンで写真が「青」「赤」に被っている例

例1 WB「晴れ」で青くなる

例えば以下の写真です。

予め撮影した写真を「X RAW STUDIO」でそれぞれ現像しています。フィルムシミュレーションはProvia/スタンダードです。

 

ホワイトバランスを「晴れ」に設定した写真です。

 

「AUTO」に設定した写真です。ほんのりマゼンタがプラスされたような色になりました。

 

こちらはホワイトバランスをマニュアルで「5300K」に設定した写真。全体が黄色いですね。

 

中央のマンションを見てもらうと、「WB:晴れ」はマンション全体が青みがかっており、「WB:AUTO」は赤みがかっています。「WB:5300K」は「晴れ」が5000Kとほぼ同じなので、そこから一つ設定を上げて「5300K」で設定、こちらは全体が黄色いですね。

私は暖色が好きなので5300Kが好みです。このくらいの微妙な違いは背面液晶だと分かりにくいです。

 

Tips1. 日中の色温度は5000K~5500K

「5300K」といった言葉を普通に使っていますが、ここでは「色温度」と「ホワイトバランス」についてちょっとだけ解説します。

白熱電球のオレンジや、蛍光灯の青など、光の色は数値に置き換えることができます。そのことを「色温度」と呼び単位を「K(ケルビン)」で表します。

人間の目に自然に見える光は「正午くらいの晴れの光」。その色温度は5000~5500Kと言われています。色温度は数値が上がるほど青く、下がる程オレンジ色に見えるようになります

次に「ホワイトバランス」ですが、ホワイトバランスは白を白く見せるために、カメラが「色温度」とのバランスをとるための数値のことを言い、目で見える光がオレンジ色なら青色で相殺する。といったように、色温度とは逆にカメラの数値を上げるほどオレンジ色に、下げる程青色に変化するようになっています。青い色は「寒色」オレンジ色は「暖色」と言ったりもしますね。

 

Tips2. カメラメーカーによって「晴れ」の基準はまちまち

さらに余談になりますが、「晴れ」のホワイトバランスはカメラメーカーによって数値がまちまちです。富士フイルムとニコンのカメラで、それぞれホワイトバランスを「晴れ」に設定して撮影した写真をLightroomに読み込むと、

  • 富士フイルム 5150K
  • ニコン 5300K
  • Lightroomの昼光色 5500K

となっています。この数値を見るに、富士フイルムはどちらかと言えば基準が寒色寄りなのかと思います。先程「晴れ」で写真が青くなってしまったのはこれが要因ですね。

 

ついでに言ってしまうと、カメラのホワイトバランスをマニュアルで設定した数値と、Lightroomに読みこまれた際のホワイトバランスの数値は微妙に違っており、

  • 富士フイルム X-T20 : 5300K → 5500K
  • ニコン D750 : 5260K → 5350K

と、それぞれずれています。カメラ側で似た数値に設定しても、実際色が違って見えるのはこういった要因もあるようです。

 

例2 WB「晴れ」でドンズバだけど「AUTO」で赤い

ささっと比較してみました。

この場合「晴れ」はドンズバなホワイトバランス。「AUTO」は赤みがかっていますね。赤くなるのはもしかしたら私の持っているX-T20がそのような傾向なのかもしれません。

すっきり晴れている日はドンズバなこともありますが、シーンによっては例1のように青くなります。

 

こちらが「5300K」の写真です。

 

「暖色」な写真の方が好き

2つの例から「晴れ」は青くなるかドンズバになるかの違い。「AUTO」は全体が青くなりつつ赤くなり、どちらも寒色に寄っています。

私は黄色に定評のあるニコンで鍛えられたからか、どちらかといえば暖色な写真の方が好みで許容できるため、これらを踏まえてホワイトバランスを「5300K」に設定することにしました。

完全に好みの問題なので、逆に寒色が好きなのであれば「晴れ」に。朝の時間帯や、すっきりした青さを出したいときにも「晴れ」にしたりとシチュエーションによって使い分ければいいかなと思います。

 

FilmのProviaは赤いのか?

私はFilmをやっていないので分かりませんが、Proviaで撮影した写真をFlickrで調べると赤が被った写真がわんさか出てきます。一応富士フイルムは意図的にこういう色にしてるんじゃないかなと思いました。

 

例3 WB「AUTO」の癖

もう一例だけ。

ましな方の写真ですが森の中で「AUTO」で設定するとこのような色になることが多いです。

 

「5300K」に設定するとこんな感じです。やや黄色く、緑もかぶってしまっていますが、やっぱり私はこちらの方が好みです。

 

修正してみる

等々力渓谷
かめらと。

等々力渓谷等々力渓谷

X-T20, FUJINON XF14mmF2.8 R, 14mm, 1/10秒, ƒ/8, ISO200

ささっとiPadで修正してみました。撮って出しとはいえ写真の修正はバンバンするほうです。昔からニコンの黄色を直していたので黄色の写真から好みのテイストに編集するノウハウがある。というのも理由の一つです。

 

修正の方向を1方向にした方が楽

「AUTO」で撮影すると、青だったり、赤だったり、黄色だったりとばらばらな色の写真になってしまい、それぞれで補正の手段を判断しなければいけないのでそれだけ手間も増えてしまいます。

それよりも、常に写真を黄色にしておくことで、修正の方向を限定して補正する方が簡単です。編集用のアプリで黄色みをとるプリセットを割り当て、その強弱で調整するだけなのでレタッチがとても楽になりました。

 

晴天時のホワイトバランスは「晴れ」or「AUTO」に決めました。

西沢渓谷へ
かめらと。

西沢渓谷へ西沢渓谷

X-T2, FUJINON XF16-80mmF4 R OIS WR, 16mm, 1/9秒, ƒ/16, ISO200

というわけで晴れの日におけるホワイトバランスは「晴れ」または「5300K」に固定することにしました。シーンや天候、フィルムシミュレーションによっても使い分けを行いますが、メインは「晴れ」または「5300K」にしてしばらくばしばし撮っていきたいと思います。室内や光源がよくわからない時はもちろん「AUTO」も積極的に使用していきます。

その後に色々試しましたがで、晴天時のホワイトバランスは「晴れ」or「AUTO」に固定し、ホワイトバランスシフトでトーンを変更するようにしました。5300Kだと全体的に黄色すぎるため、ホワイトバランスシフトでブルーを-1にする方が自然に仕上がります。

 

X-T20, FUJINON XF35mmF1.4 R, 35mm, 1/1250秒, ƒ/1.4, ISO200

 

X-T20, FUJINON XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, 18mm, 1/2200秒, ƒ/3.6, ISO200

これは以前に撮った写真の再現像。正午くらいの時間帯だと思いました。

今回の試みは現場でこまかい色が分からないため、ホームランかアウトかの写真をコツコツヒットにし、盗塁やバントも絡めて塁を進める試みです。

 

かめらと。

X-T20, FUJINON XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, 18mm, 1/210秒, ƒ/8, ISO200

再現像。こちらは軽く調整しました。すっきりとした青が出て気持ちのいい写真になりました。

 

X-T20, FUJINON XF35mmF1.4 R, 35mm, 1/2900秒, ƒ/2.8, ISO400

夕方の一枚ですが、全体にちょうどよく夕陽の色が被りなかなかエモい写真になりました。

 

夕顔
かめらと。

夕顔

X-T20, FUJINON XF35mmF1.4 R, 35mm, 1/9000秒, ƒ/1.4, ISO400

しばらくホワイトバランスを「晴れ」または「5300K」に設定して撮影していましたが、以前に比べて写真の撮れ高が増えてきました。

現在は「晴れ」に固定し、ホワイトバランスシフトで「ブルー-1」にしています。

勝手がわからずこんな結論に至ってしまいましたが、世のJPEG撮って出し派の人は正直どのような設定で撮っているんでしょうか??フィルムシミュレーションに関してはよく話題になりますが、その前の設定に関してはなかなか記事がないので私はこうしているよ!といった声があれば嬉しいですね。

 

 

 

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