水族館での写真の撮り方とアイデア。明るくないキットのズームレンズとマイクロフォーサーズのカメラで水族館を撮ってみた。
比較的コンパクトで取り回しがよく、意外と画質がいいキットレンズが大好きな管理人です。
今回はメジャーなスポットの中でも、「(館内が)暗い」「(動きが)速い」「(アクリルが)厚い」と無理やりに揃えた三拍子+色が難しいなどなどの要因で難易度が高い水族館の写真を、明るいレンズなしに暗いズームレンズを使って頑張って撮ってみようという回です。
明るいレンズを持っていればいいのですが、そうでない方も大勢いるかと思います。今回はそんな方でも水族館を諦めなくていいんだ!と思えるような話にしていければ幸いです。
今回使用した機材はマイクロフォーサーズの
- パナソニック DMC-GX7
- LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
- LUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
です。
レンズは同じクラスの中でもコンパクトなタイプ。望遠レンズはキットレンズではないですが、標準ズームレンズはキットレンズになります。
水族館でやってはいけないこと
まずは水族館でやってはいけないことを確認しましょう。
フラッシュ(ストロボ)は使わない
魚の種類によってはストロボの光にストレスを感じたり、光に習性を持った魚もいるようです。
暗いレンズを使っているとストロボを使いたくなる方、オートで出てしまう方もいると思いますが、ストロボを使ったところで水槽に反射してしまいろくな写真は撮れません。予め設定でOFFにしておきましょう。
三脚はNG
多くの水族館ではそもそも三脚の使用が禁止されています。
長時間同じ場所で撮影を続けるのはNG
周りの様子次第でもありますが、いくらタイミングを待っているからと行って同じ場所を占拠せずにどいてあげましょう。人が来ないから。と思うかもしれませんが気を使ったり写り込みたくなくて離れているかもしれません。
同じ場所だけではなく、遠くから見ればまた違った視点が生まれるかもしれませんのでポジティブに。くれぐれも水族館に訪れるみなさんが楽しめるようにしましょう。
といった感じで、マナーを守って撮影に臨みたいですね!
水族館で標準レンズを使って撮影する際のカメラの設定
露出モードは「シャッタースピード優先オート」がおすすめ
標準レンズを使用する場合はレンズの明るさが足りずカメラ任せにしてしまうとシャッタースピードが足りないことが多いので、カメラのモード設定を変更しましょう。
- シャッタースピード優先オート(SS・Tvモード)に設定
- SSは1/60~1/125 程度を死守する。
に設定に設定しておけば、手ブレや被写体のブレを軽減できるのでおすすめです。
シャッタースピードを確保しなければ「魚」がブレている写真が量産されます。余裕を持ってもう一段 SS 1/250 程ほしいですがここが暗いレンズの泣き所です。
ISO感度はオートで。上限を ISO3200 以上に設定
ISO感度は基本的にオートに設定しておけばいいでしょう。シャッタースピードが速いに越したことはないのでマイクロフォーサーズの方でも上限を ISO3200 などできるだけ上げておきましょう。APS-CのカメラでISO6400が許容範囲だよ。って方はISO6400に。画質が許せる限界まで上げておきましょう。
2010年前半以前の古いカメラでは画質的に厳しいかもしれませんが、写せることが大事です。
シャッタースピードを速くしておき、暗く写ったら遅くする
基本的にシャッタースピードを速めに設定しておき、暗く写ってしまったら遅くして露出を調整した方が分かりやすいと思います。「魚を写す」ことが大事なので、画質を犠牲にしてでもギリギリを攻めるのが大事です!被写体にもよりますが1/60程度で撮れない場合は諦めも肝心です。
ホワイトバランスは水槽を見て逐一修正、基本は「太陽」「白熱電球」 or「晴天+マゼンタ」
水族館で更に難しいのがホワイトバランスですが、ある程度攻略法が確率されています。
目で見て自然な水の色に見える水槽は「オート」か「太陽」。より青くしたい時は「白熱電球」でいいと思います。ただし「白熱電球」は手軽に青くなりますが、強制的に青くするために不自然な色になりがちです。
もう少し自然な発色にしたいのであればホワイトバランスの設定で「晴天」から「(M)マゼンタ (ピンクのような色)」を足して上げることで、水槽の濁った水を、綺麗な水にして撮影することができます。
緑色になる水槽は「晴天+(M)マゼンタ」がおすすめ
ライト、深さなど水槽毎に違って見えるので一概には言えないのが水族館の難しいところですね。いっそのこと開き直ってひとつひとつの水槽でマニュアルで変えて行きましょう。水族館の設定はこれだ!と思ったらすでに完璧な解説がありました。
流石の studio9さんなので、水族館で写真を撮りたい方は一読しておきましょう。
RAWで撮影できればすごく楽
ただでさえシャッターのタイミングが難しい水族館撮影です。RAW現像ができる方はRAWで撮影を行い、後からホワイトバランスを調整した方がシーンに集中できるので楽だと思います。
RAW現像って何?って方は良ければ以下をご覧ください。
水族館を撮影するポイント
既にカメラの設定で長くなってしまいましたが、今度は撮影時におけるポイントです。
映り込みを少なくするためには水槽にぎりぎりまで近寄る
水槽のガラスは反射もすごいし、表面は傷だらけです。水槽にレンズをぎりぎりまでくっつけてあげてなるべく映り込みを抑えて行きましょう。
歪みを少なくするためには水槽に対して真正面から撮影する
水槽で使われているアクリルパネルは、水圧に耐えるために非常に分厚いです。その厚さのおかげでちょっと斜めから覗くと、すぐに水槽が歪んでぼやけて見えてしまいます。そうなると写真の画質は悪くなるし、AFは効きにくくなるしといいことはありません。なるべく正面から撮影してあげるのがポイントです。
正面ばかりだと面白くない
とは言っても正面だけだと代わり映えのしない写真ばかりになってしまうでしょうか。多少ボケてしまっても雰囲気重視は大事ですね。
チルト、バリアングル、タッチシャッターがあれば積極的に使う
低い位置に撮りたい魚がいたら、しゃがんで水槽にレンズを近づけながらファインダーを覗く。なんて考えるだけで腰が痛くなる作業です。
カメラにチルト機能があれば、しゃがまずにローアングルから撮影することができ、さらにタッチシャッターを活用すれば、狙った構図のまま魚にピントを合わせやすくなります。使える機能は積極的に使っていきましょう!
室内でも意外に使える望遠レンズ
標準ズームレンズは、望遠側で撮影を行うと暗くなってしまい、その分シャッタースピードに余裕がなくなります。
それならいっそのこと望遠レンズの広角側を使って撮影してみましょう。標準ズームの望遠側はF5.6、望遠レンズの広角側はF4.0。たかが1段ですがされど1段です。似たような画角でも少しだけシャッタースピードを稼ぐことができます。
望遠レンズを使うと、最短撮影距離が長くなってしまうので近くにピントを合わせることはできませんが、奥行きのある水槽であれば意外といい仕事をしてくれます。
冒頭のこの写真も望遠レンズで撮影しました。背景もいい感じでボケてくれてますね。
とにかく連写
最後は気力です。とにかく連写をして撮影しましょう。一回の水族館で300枚400枚なんて当たり前です(多分)。
実際に撮ってみました。
葛西臨海水族園
シルエットを活かすとかっこいい
巨大な水槽は人のシルエットを入れて大きさを強調したいですね!上の余白は開放感を狙ってみました!手前に人がいると違和感があるので、水槽の前にだけ人が集まるタイミングを待って撮影を行ったお気に入りの1枚です。冒頭に解説したようにホワイトバランスを「太陽+マゼンタ」で設定しています。
流し撮りを操るとかっこいい
カメラを被写体(魚)の動きに合わせて動かしながら撮影することを「流し撮り」といいますが、水族館は絶好の流し撮りの練習ポイントです!
カメラを左右に振るので周りに注意しなければいけませんが、上手く撮れると満足感がすごいです。ただし、周りからみると完全に怪しいおじさんなのでいろいろと気をつけましょう。
流し撮りをするときは「手ぶれ補正」をOFFに。その後の戻し忘れに注意です!
全体の雰囲気も忘れずに
寄ってばかりの写真だと、後から見返した時に「どこにいったんだっけ?」となるので、園内の特長的なものはしっかり抑えておきましょう。
水族館は一風変わった設備があるのも魅力的です。魚だけじゃなく園内の至る所を観察してみましょう。
望遠レンズを忘れずに
屋外は望遠レンズが大活躍です!シャッタースピードを存分に引き上げて動物の動きを止めて撮影しましょう!
暗いエリアは暗さを活かす
この写真は「深海エリア」で撮影しました。エリア全体が暗すぎて撮りようがないかなと思いましたが、「水面」にライトが少しだけ照らされていて、反射していることに注目して撮影してみました。露出をギリギリまでマイナス補正し、魚が集まったタイミングでパシャリ。
葛西臨海水族園は園内が比較的明るく、水槽もクリアで撮影しやすいのですが、人気の水族館なだけに人がたくさんいるのが難しい所です。閉園間際の1時間程は空いていたのでタイミングを測りましょう!
しながわ水族館
光源を入れてキラッキラ
水槽から離れて撮影すると、どうしても水槽の傷が目立ってしまいますね。光を太陽に見立てて雰囲気で勝負でしょうか。
ひたすら連写で決定的な1枚を
魚の動きは予測が難しく、なかなか捉えるのが大変ですね。根気との勝負になりますが、メモリーカードの容量がある限りひたすら連写あるのみです!
クラゲは観察してみると、全体はゆったりしているようでも細かな動きが中々速いことに気づきます。
まったく動かない魚はチャンスですね。シャッタースピードを手ブレしない限界まで落として明るく綺麗に撮りましょう。
時にはアップも積極的に
ひたすらタッチシャッターを使って連写したイケメンな亀さん。
明るい水槽狙い撃ち
水槽が明るい場合はシャッターチャンス。思いつく限りの写真を撮っておきましょう。
時にはマニュアルフォーカスも忘れずに
水槽によってはまったくピントが合わないものもありました。マニュアルフォーカスのやり方も確認しておくと慌てずにすむと思います。
歪みをなくすには正面から
水槽が丸いタイプはどうしても歪んでしまいますね。できるだけ真正面から捉えるようにして、動きを合わせるのではなく迎えいれましょう。
諦めも肝心
水槽によってはF3.5 ISO3200 SS1/60 でもこの暗さ…。潔く諦めるのも肝心です。
ショーは目印を探して「置きピン」で
特にイルカショーはイルカの動きがとても速いのでAFでは追いきれないと思います。どこか目印を見つけてピントを合わせておく「置きピン」で撮影するといいでしょう。
この写真の右上のボールのように、かならずめがけて飛んでいく場所に目印があるので、そこに予めピントを合わせておけば楽に撮影ができます。後は「きたー!」っと思ったらひたすら連写です!
シャッターも大事ですが楽しむのはもっと大事です!ショーの時間は必ずチェック!
水族館を楽しみましょう!
また行きましょう!
やっぱり欲しいかなと思ったもの
寄れるレンズ
今回使ったレンズの最短撮影距離は0.2 m。最短撮影倍率は0.13 倍とそこまで寄れるレンズではありません。クリオネやクラゲの水槽など、これはマクロレンズがないと撮れないなと思った水槽もちらほら。寄れば寄るほどシャッタースピードはシビアになるので難易度も上がるのが難しいところですが!
明るいレンズ
撮影した写真を見返してみると、ISO感度が1600~3200に集中してしまいます。写真をトリミングするとノイズが目立つのでやっぱりもう少し明るいレンズが欲しいですね。
例えばF1.8のレンズであれば2段分。シャッタスピードなら1/125が1/500。ISO感度ならISO3200をISO800まで下げることができます。1段でも明るいレンズがあればもう少し余裕のある撮影ができますね!
今回のまとめ
意外と標準ズームレンズでも行けるんじゃないでしょうか?
水族館はどうしても暗いのでシャッターチャンスをつかむのは非常に難しですが、狭い館内だと前後することも大変なので画角を調整できるズームレンズの方が構図が作りやすいですね。F2.8のズームがあれば完璧ですが値段が非常にお高いです。それでも今回はキットレンズで撮影してみましたが十分な手応えを感じました。
水族館によってライトが違い、明るい、暗いはまちまちだと思いますがそれぞれの特長を捉えて写真を楽しみたいですね。