近場の散歩やサイクリングにいつもミニ三脚を持ち歩いていますが、最近はもっと頑張れるトラベル三脚を持ち運びたい欲がでてきました。ただ私はショルダーバッグがメインなのでバッグの容量が限られてしまい、自転車にも乗るので、できるだけコンパクトで軽量な三脚がいいのです。
そんな時に使っている推しトラベル三脚「SLIK エアリー S100」がやっぱり良かったので、使用感などのレビューを兼ねて紹介してみたいと思います。
SLIK エアリー S100
4段のレバーロック式のトラベル三脚「SLIK エアリー S100」です。
カタログスペックで重量750g、折りたたみ時の縮長が300mmと、ここまで軽量でコンパクトなトラベル三脚は現在のところこれだけではないかという(私調べ)トラベル三脚です。
全長高は1,024mmと確かに小さいですが、ミニ三脚で満足している私としてはとても実用的な高さです。トラベル三脚では少しでも高さを稼ごうと1,300mmを超えるものが多いですが、その分重量や体積がかさみます。意外と SLIK エアリー S100 くらいのスペックの三脚はなく、軽い、短い、細いを生かした隙間を突いた製品です。コンパクトなタイプはパイプが5段な三脚も多いですが、4段に抑えられているのも好感触です。
SLIK エアリー S100 のスペック
SLIK エアリー S100 | SLIK エアリー M100 | SLIK エアリー L100 | |
---|---|---|---|
全伸高 | 1,014mm | 1,241mm | 1,543mm |
伸高(EV格納時) | 890mm | 1,070mm | 1,309mm |
最低高 | 158mm | 165mm | 170mm |
縮長 | 300mm | 350mm | 417mm |
材質 | アルミ | アルミ | アルミ |
脚パイプ径 | 20/17/14/11.5mm(実測) | 20mm | 20mm |
脚段数 | 4段 | 4段 | 4段 |
最大搭載荷重 | 1.5kg | 1.5kg | 1.5kg |
重量 | 750g | 895g | 980g |
雲台取り外し | ○ | ○ | ○ |
その他 | レバー式脚ロック 反転式EV |
レバー式脚ロック 反転式EV グリップ |
レバー式脚ロック 反転式EV グリップ |
スペックを見るとエレベーターが一番上の状態で1,014mmになるのでちっさ!となるかもしれませんが、それのおかげでアルミの三脚にも関わらず、軽量化とボトル並のコンパクトサイズが実現しています。S100とM100、L100の違いは、重さ、高さ、縮長もありますが、グリップがついているかどうかの違いもあります。
私は訳合って基本的にショルダーバッグしか使っておらず、ショルダーバッグだとホルダーがないことも多いので小さければ小さい程、持ち運びがしやすくて助かる訳です。
三脚だけなら603gの軽量モデル
雲台を外して三脚だけを計測すると603gになります。まさにコンビニで売っている麦茶のペットボトル(600ml)一本分の重量です。
センターポールをバラバラにして各パーツの重量を測るとこんな感じです。センターポールは合計で57g。上下で分割することができ、下側にプラ製のキャップが取り付けられています。付属の雲台が137gなので雲台を合わせると194g。センターポールを必要としない場合は、分割した下側の8cm程のポールを取り付けなくてもいいので更に26gの軽量化ができ、577gの三脚になります。
自転車に乗っていると数10gでも少なくしたい欲に駆られるので魅力的な数値です。
ボトルサイズの径の細さ
SLIK エアリー S100 の最大のメリットはこのボトルサイズの径になります。公式サイトでも500mlのペットボトル並みとうたっている自慢の細さで、鞄のボトルホルダーなどに収納することができます。いくら短くても直径が太ければできない芸当ですね。
周囲を計ってみると約23cmです。
おかげでこういったボトルホルダーに収納することができます。私はショルダーバッグなので、こちらのボトルホルダーがいい塩梅に収まります。使用時の携行や、持ち手を三脚にかけて重りとしても役立っています。
開脚は3段階
エレベーターが伸びている状態がデフォルトになり、全伸高は 1,014mmです。開脚は3段階で調整でき、最低高は158mmです。
脚のロックはオーソドックスなレバー式。ベルボンなどのねじ式のウルトラロック式に比べれば操作性はそこまで良い訳ではなく、伸長に時間もかかります。ロック自体は緩みなどはまったく問題なくガッチリです。
エレベーターを逆付けしてローポジションの撮影も
センターポールの下部のキャップを取り外し、センターポール固定用のノブを緩めるとセンターポールを抜くことができるようになっています。そのまま上下を逆に取り付けることでローポジションからの撮影も容易にできるようになっています。
最低限のパーツで構成されているのでとてもシンプルな機構です。こういった工夫も重量を削ることができている要因でしょうか。
ウェストレベルな全高1,014mm
全高1,014mmの高さは、身長171cmの私観測で雲台の高さがおへその高さくらいになります。カメラを見下ろすことになるのでチルト液晶かバリアングル液晶を搭載した機種がおすすめです。
高さがないので、手すりがあるような場所では手すりの高さを超えることができないので割り切りが必要になります。その場合はこういったポケット三脚が便利。無理に全てをカバーしようとせず適材適所ですね。
SLIK エアリー S100と同様1.5kgまでの機材を乗せられるのでサブにピッタリです。
ハライチロックシステムで折りたたみが楽々
この青い部分が足のロック機構になっています。普通のトラベル三脚はこういったレバーを抑えながら足を一本ずつ折りたたむことになりますが、SLIKのハライチロックシステム?はレバーを下ろすと下ろした状態で固定され、全てのレバーを下ろしてから足だけをささっとスムーズに収納することができるようになっています。
左がロック状態、右がレバーのリリース状態です。右の状態で固定されるので特に力を入れることなく脚を一括で折りたためます。足をたためば自動で解除されるので、次に足を広げる時もロックを意識せずに開脚することができます。とても良くできている機構です。
収納はまず雲台を90°に。三脚の脚の間を目安に固定します。できたらロックレバーを全部下げて、ササッと脚を折りたたみましょう。
脚を折りたたんだ時、雲台の位置によっては雲台の固定レバーと、クイックシューが脚に干渉して折りたためない事があります。その時はセンターポールのノブを緩め、センターポールを回転させることで角度の調整が容易になります。脚を戻して雲台自体を再度調整するよりは楽に畳むことができます。
縮長300mmのコンパクトモデル
畳んだ時の大きさは300mmです。収納した時も一貫した太さになるので、脚側だけが太くなっていたりすることもありません。
左がSLIK エアリー S100、右が SIRUI T-005KX です。比較すると分かりやすいと思います。SIRUI T-005KX は縮長335mmなので十分小型の部類のトラベル三脚ですが、それよりさらに一回り小さくなります。
SLIK エアリー S100 は雲台の頭が脚から出ないようになっているのでその分のスペースが確保できたり、4段に抑えたことでロックレバーと雲台の干渉がなく、スリムな形状が保たれています。右の SIRUI T-005KX のように雲台が太いとその分脚が広がってしまうので見た目以上にスペースをとることになっています。
エアリー S100の欠点としては、逆にここに挟める雲台じゃなければ使用できないので、雲台を交換したい場合に注意が必要です。コンパクトさを重視していることもあり、センターポール下などにある、重りを引っ掛けるフックのようなものがありません。風が強い場合など、割り切るか工夫が必要となります。
ショルダーバッグにも楽々収納できる大きさです。横にいれた状態なら上にカメラのインナーボックスを入れればOKです。
ショルダーバッグによっては縦に収納することもできます。以前のトラベル三脚は縮長335mmでしたが35mmの差は意外と大きいですね。
ペットボトル並にコンパクトなのでホルダーにもすっぽり収まります。
左が Nikon D750 を使っていた時によく使っていたトラベル三脚「SIRUI T-005KX」です。全長高1380 mmと比較してみると結構な高さです。
SIRUI T-005KX は隣に並べていると高さはそれなりにありますが、5段目の脚が細かったり、開脚の幅が地味に狭かったりと高さを頑張って稼いでる感がありますね。設置しているとたまに不安定さを感じることがありましたが、SLIK エアリー S100 は開脚幅の影響か、思った以上に安定していて不安定さを感じることはありません。不安定というよりも軽量すぎるのでカメラを操作している際に力が入るとずれてしまうようなイメージです。
雲台を変えてみる。
SBH-100 DQA(付属の雲台)
カタログスペックは750gですが、三脚と雲台、プレートと合わせて計量すると740gと10g軽量でした。先程の SIRUI T-005KX は実測1,034gなので約300gも軽量になります。
SLIKの付属の雲台は136g。雲台の型番は「SBH-100 DQA」で、2012年から販売されている「SBH-100 DQ N」がベースのモデルのようです。違いは首の部分が長くなっていて三脚を折りたたんだ時に引っかからないようになっています。
正直なことを言えば、この雲台とプレートの使い勝手がいまいちなので交換をおすすめします。SLIKの新しめの自由雲台にはアルカスイス互換も販売されているので、そちらを付属するモデルもあればいいのになと思いました。
雲台はSLICK独自のクイックシュー式です。パチンとロックすることができます。
折りたたむ際にはこのように雲台を曲げて収納します。
こういった特徴があるので、雲台交換時は雲台によっては干渉して折りたたみができなくなるので注意が必要です。特に縦位置の溝と、固定レバーが前後に配置されている雲台だと、どちらかはパイプの間に挟まりますが、どちらかはパイプと干渉してしまい折りたたむことができなくなってしまいます。溝とレバーが90°になっているような雲台であれば第一関門はクリアでしょうか。
以下に私が所有している雲台を取り付けてみました。
Velbon 自由雲台 QHD-33
この三脚を使う以前から愛用している自由雲台「Velbon QHD-33」です。8g軽量です。独自のノブ式のロック機構で片手でカメラに取り付けることができるとても便利な雲台です。SLIK エアリー S100 の購入当初から付属の雲台は使用しないでこちらの雲台で運用していました。手頃な値段なのでアルカスイス互換がいらない場合はこの雲台がおすすめです。
付属の雲台と同様に折りたたんで収納できます。
一見ちゃんと収納できているように見えますが、Velbon QHD-33 はレバーを横に倒さないと固定ができないのでこの状態だと完全に締めることができません。とはいえレバーが半分閉まっている状態にはなるので、三脚を振る程度では雲台は動かず、パイプとガチャガチャぶつかるわけでもありません。純正のように完全に固定できる訳ではないですが、これはこれで問題なく使えます。この雲台で1年以上使いましたが特に問題はおきませんでした。
Leofoto MTB-19
「Leofoto MTB-19」です。最近はこちらの雲台をつけっぱです。純正の雲台とプレートよりも19g軽量で固定力も高く、クランプ側にはパン機能がついている高機能な雲台です。アルカスイス互換で使いたい場合はこちらの雲台が相性バツグンですね。
クランプ側でパンができる雲台なので回転位置によっては脚が干渉します。収納時はレバーを開放して脚を畳み、脚の形に調整してあげれば要領を得やすいです。Leofoto MTB-19 だと畳んだ状態でもレバーに指が届きます。クランプの高さも低いので純正の雲台よりも収まりがよく、さらにコンパクトに収納できます。
こちらも多少問題があり、若干首が太いのでパイプと雲台がぶつかっています。傷が気になる場合はマスキングテープでも貼っておけばOKでしょうか。また、この位置であればほとんど目立ちませんが、センターポールの下部を外して最軽量を狙うと、根本に近い位置でぶつかってしまうので、その分若干足が開いてコンパクトさが失われます。その点だけがとても惜しい雲台でしょうか。
SLIK SBH-61
約48gで耐荷重1kgの超小型自由雲台「SLIK SBH-61」取り付けてみました。試しに購入したものですが、使ってみた感触としては合計1kg程度の標準ズームレンズの組み合わせなら十分止まりました。こちらは雲台を折りたたまなくてもそのまま収納できるので、さらに割り切って使えば有りな組み合わせです。
自転車を電車に乗っけて輪行した時にも持ち出しました。前方に草むらがある場所だったのでミニ三脚では無理な場所でした。20秒でもばっちり止まってます。
1,014mmでもあると前景を工夫できますね。前方が開けた場所なら十分使える高さです。
SLIK エアリー S100 は全長高1,024mmの割り切ったスペックで、材質がアルミにも関わらず雲台込で740g(実測)、三脚単体で603gと軽量可を実現したトラベル三脚です。
風が強くない場所や、重量のある望遠レンズを使わないという条件であれば十分使える三脚です。その上、ハライチロックシステムや、エレベーターの逆付け、雲台の交換可と小ささや安さなどで妥協に持っていったものではなく、通常レベルの使用感のまま小型に落とし込んだ、普通に使っても扱いやすい三脚になっています。先日ビックカメラの三脚コーナーでも見かけたので、お近くにお店がある場合はぜひぜひ触ってみてください。