キヤノン EF50mm F1.8 STM vs EF50mm F1.8 II 仕様比較。Canonの "50mm f/1.8" 新旧モデルの違い
Canonの入門用撒き餌レンズとして、世界でもっとも使った人が多いといわれているロングセラーレンズ、”EF50mm F1.8 II”が25年ぶりに装いも新たに”EF50mm F1.8 STM”としてリニューアルされました!
“EF50mm F1.8 II”が発売された1990年はまだまだデジタル一眼レフは販売されておらず、フィルムカメラが全盛の時代です。私はキヤノンユーザーではないですが、常々安い撒き餌レンズは羨ましいなぁと思っていました。今回はそんな嫉妬の心を交えつつ、比較記事を書いていきたいと思います!
仕様を比較する
それでは早速新旧”EF50mm F1.8″の仕様を比較してみたいと思います。
NewEF50mm F1.8 STM | EF50mm F1.8 II | |
発売年月 | 2015年5月下旬 | 1990年12月 |
メーカー希望価格 | \19,500 | \12,000 |
実売価格(2015年5月現在) | ¥16,090 | ¥8,980 |
仕様 | ||
マウント | EF | EF |
フルサイズ | ○ | ○ |
焦点距離
(APS-C装着時) |
50mm
(80mm) |
50mm
(80mm) |
AF | STM | DCモーター |
フルタイムマニュアル | ○ | – |
画角(水平・垂直・対角線) | 40°・27°・46° | 40°・27°・46° |
レンズ構成 | 5群 6枚 | 5群 6枚 |
絞り羽根枚数 | 7枚 | 5枚 |
最小絞り | 22 | 22 |
最短撮影距離 | 0.35m | 0.45m |
最大撮影倍率 | 0.21倍 | 0.15倍 |
フィルター径 | 49mm | 52mm |
最大径×長さ | φ69.2mm×39.3mm | φ68.2mm×41mm |
質量 | 約160g | 約130g |
マウント | 金属製 | 樹脂製 |
その他変更点 | デジタル時代のコーティング レンズフードが直接装着可 梨地仕上げの塗装 |
レンズフードはアダプタリングが必要 |
絞り羽が7枚に変更。ボケがキレイに
絞り羽の枚数が5枚から7枚へと変更されました。
絞り羽はレンズからカメラに入ってくる光を遮る機構で、枚数が少ないとボケの形が角ばり、多いほどが丸くなります。
5角形のボケとなっていたのが、絞り羽が増えたことで丸に近いキレイなボケとなりました。イルミネーションに限らず木漏れ日の太陽光、細かい背景を大きくぼかしたりするときなど、より柔らかな雰囲気の写真を撮ることができます。
最短撮影距離が10cm縮まる35cmに!小物撮影もしやすくなりました
最短撮影が45cmから35cmになり、より近くで撮影できるようになりました。テーブルフォトなどでも活躍しますね!
10cmの差は思った以上に大きいです。試しにお手持ちのレンズを使って、一番寄った位置から10cm離れてみるとその便利さが分かると思います!
マウントは樹脂製から金属製に。梨地塗装で高級感アップ!重さは30g増
外観も一新され、梨地塗装に金属製のマウントになったことで高級感がぐっとアップしました!
引き換えに約130gから約160gと30gほど重くなりましたが、それでも十分な軽さだと思います。
AFにSTMを搭載!静かなAFが可能。動画撮影にも
AFにはギアタイプのSTM(ステッピングモーター)を搭載しました。従来のDCモーターを使った『ジージー』音がなくなり、静かなAFとなっています。
AF合焦後にもマニュアルフォーカスが可能となるフルタイムマニュアル機構も搭載され、扱いやすさも向上しています。フルサイズセンサー搭載カメラはボケも大きくピントがシビアなため、微調整に重宝する機能です。
コーティングが変更。ゴーストやフレアを軽減
旧レンズの「EF50mm F1.8 II」は、フィルム時代のレンズだったためにコーティングが古いものでした。
新型レンズではデジタル時代に対応した新しいコーティングに変更され、フレアやゴーストが低減、逆光時の画面が白くなるような、コントラストの低下や、光の映り込み、パープルフリンジなどが少なくなります。
逆に光を入れたふわっとした表現は難しくなるかもしれません。
レンズ構成に変更なし。MTF特性はほとんど変わらず
今回のリニューアルではレンズ構成は変更されず、MTF特性はほとんど変わりません。そのため解像度などの画質自体にそこまで大きな変化はなさそうです。コーティングによるコントラスト、色の変化、ゴーストやフレアには間違いなく強くなっており、絞り羽の枚数が増えたことでボケ味なども変化はしていることで画質以外の画作りで大きく変化しています。
価格が上昇。1万円以下での購入は難しく
プラマウントから金属マウントに変更されるなど、随所でアップグレードされているため価格は上昇しています。1万円代前半には届くかもしれませんが、今までのように1万円以下で購入することは難しいのではないでしょうか。
大きさを比較する
ほぼ実寸比で比較しています。大きさはほぼ同じで、新型の”EF50mm F1.8 STM”が横に1mmほど大きく、縦に1.7mm程小さくなっています。旧型は円錐上になっていますが、新型は直線的なフォルムでよりコンパクトな印象を受けます。
デザインは新しいレンズが繋ぎ目も目立たず、シームレスでスマートですね!ピントリングも広くとってあるので使いやすそうです。
今回のまとめ
さすがに25年もの歳月が流れると変更点が多いですね。
レンズ構成に変更がないのは正直意外でした。キヤノンはこれから高画素機を発表するような噂もあったので、それに対応するのかなと個人的には考えていました。
しかしフルサイズ対応のレンズとして使い勝手は大幅に向上し、高くなったとは1万円半ばで購入できるのはとてもリーズナブル!フルサイズのカメラでの1本目のレンズにはぴったりだと思います!
現状のエントリー層はAPS-C機が多いため、それらのユーザーにとっては換算80mmは若干画角がせまいく、2本目の単焦点レンズにちょうどよいレンズでしょうか。
また、フルサイズユーザーであれば相応のレンズを購入する資金力もあるので、撒き餌のポジションに置いておくには勿体ないからの変更かなと勝手に考えました。キヤノンのAPS-C機用には換算50mmの手頃なレンズがないので、今後はAPS-C向けに用意してほしいですね!
参考サイト
徹底的に実際のレンズを比較されています!いいレンズをすでに所有している人は、旧型はクセがあるからこそ持っていると楽しい。はなるほどと思いました!
やはりボケが随分きれいになったのではないかと感じます。逆光での撮影時もフレアやゴーストが目だっていませんね。レンズ構成は一緒なので、現代のレンズに比べると若干癖の描写ですが、それがまたいい味になりそうです。
早速撮り比べされています!やはり10cmの差は大きいですね。
旧レンズレビュー。玉ボケはこんな感じです。
旧レンズレビュー。盛大なフレアが楽しそうです。
レンズの質感など細かい部分の評価も。
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