FUJIFILM X30 vs X20 vs X10 機能比較。富士フィルムのXシリーズ 2/3インチセンサー搭載機の違いをみる
富士フィルムが2/3インチセンサーのXシリーズ高級コンデジ『FUJIFILM X30』を発売しました。X2桁機はこれで3代目。クラシックな外観と特長的な光学ファインダーで根強い人気がある同シリーズですが、その特長を一転した『X30』と、『X20』『X10』の歴代機種を比較してみたいと思います。
『X30』の発売前は、1インチセンサーが搭載されるなどの噂が飛び交いましたが、蓋をあければ期待とは裏腹、若干残念な仕様に落ち着いたのが正直な感想です。それではXシリーズ2桁機の比較を見ていきます。
製品名 | NewX30 | X20 | X10 |
---|---|---|---|
発売時の価格 | \ 65,000 | ¥65,000 | ¥70,000 |
メーカー | 富士フィルム | 富士フィルム | 富士フィルム |
発売日 | 2014年9月20日 | 2013年2月23日 | 2011年10月22日 |
レンズは3代変わらず。F値、焦点距離、マクロ性能も同じ
『X30』でもレンズは変わらず『フジノン光学式4倍ズームレンズ』を搭載しています。
換算28~112mmの4倍ズーム。開放F値もf/2.0~2.8、マクロ性能も、スーパーマクロモードで広角端約1cmと変わらずです。
レンズを変えない理由を漠然と考えてみる
富士フィルムの考えている写りを具現化するレンズとして十分ということでしょうか。
確かにレンズは資産といわれるように、レンズによって解像度、色、ボケ、周辺減光、逆光耐性などなどが決まり、写真における結構な割合をレンズが占めると思います。逆にレンズを変えないことで、ボディ全体の進化を際立たせ、レンズは同じだからどっちのボディがいいの?といったマーケティングなのかもしれません。他メーカーとは逆転の発想です。たしかにX10からX20に変わり、センサーがローパスレス化したことで出てくる写真の解像感がアップしました。もともと色には十分定評があるので、あとはフィルムシミュレーションを加えれば十分なのかもしれませんね。
参考に、『X20』『X10』のヨドバシさんのシューティングレポートを貼っておきます。『X10』時代から素晴らしい写りをしているのは確かだと思います!
- [PY] フォトヨドバシ | FUJI X [X30 実写インプレッション]
- [PY] フォトヨドバシ | FUJI X [X20 実写インプレッション]
- [PY] フォトヨドバシ | FUJIFILM X10 実写レビュー
製品名 | NewX30 | X20 | X10 |
---|---|---|---|
レンズ | フジノン光学式4倍ズームレンズ | フジノン光学式 4倍ズームレンズ | フジノン光学式4倍ズームレンズ |
レンズ構成 | 9群11枚 (非球面レンズ3枚 EDレンズ2枚) |
9群11枚 (非球面レンズ3枚 EDレンズ2枚) |
9群11枚 (非球面レンズ3枚 EDレンズ2枚) |
開放F値 | f/2.0~2.8 | f/2.0~2.8 | f/2.0~2.8 |
焦点距離 | 7.1~28.4mm [35mm換算:28~112mm] |
7.1~28.4mm [35mm換算:28~112mm] |
7.1~28.4mm [35mm換算:28~112mm] |
ズーム倍率 | 光学ズーム : 4倍 超解像ズーム最大2倍 |
光学ズーム : 4倍 超解像ズーム最大2倍 |
光学ズーム : 4倍 超解像ズーム最大2倍 |
撮影範囲(レンズ先端より) | 標準 : [広角]約50cm~∞ [望遠]約80cm~∞ マクロ : [広角]約10cm~3.0m [望遠]約50cm~3.0m スーパーマクロ : [広角端] 約1cm~1.0m |
標準 : [広角]約50cm~∞ [望遠]約80cm~∞ マクロ : [広角]約10cm~3.0m [望遠]約50cm~3.0m スーパーマクロ : [広角端] 約1cm~1.0m |
標準 : [広角]約50cm~∞ [望遠]約80cm~∞ マクロ : [広角]約10cm~3.0m [望遠]約50cm~3.0m スーパーマクロ : [広角端] 約1cm~1.0m |
画素数は安定の約1,200万画素。ローパスレス、像面位相差AFは『X20』と同等
噂のあった1インチセンサーは搭載せず、『X20』と同じ『2/3型 X-Trans CMOS II』センサーを搭載しています。画素数も据え置きの約1,200万画素。高速AFを実現する像面位相差AF搭載で『X20』と変わらず快適な撮影が可能です。
フィルムシミュレーションに『クラシッククローム』が追加
『X30』ではフィルムシミュレーションに新たに『クラシッククローム』が搭載されてました。落ち着いた表現と深みのある色再現が特長です。
製品名 | NewX30 | X20 | X10 |
---|---|---|---|
画素数 | 1200万画素 | 1200万画素 | 1200万画素 |
映像素子:サイズ | 2/3型 X-Trans CMOS II | 2/3型 X-Trans CMOS II | 2/3型1200万画素EXR CMOSセンサー |
ローパスレス | ○ | ○ | |
AF | 撮像面位相差AF | 撮像面位相差AF | コントラストAF |
ISO感度 | ISO 100~12800 [オート : ISO 100~3200] ISO4000以上はJpgのみ |
ISO 100~12800 [オート : ISO 100~3200] ISO4000以上はJpgのみ |
ISO 100~12800 [オート : ISO 100~3200] ISO4000以上はJpgのみ |
保存形式 | RAW JPG |
RAW JPG |
RAW JPG |
連写性能 | SH:約12コマ/秒 連続18 H:約9.0コマ/秒 連続23 M:約6.0コマ/秒 連続46 L:約3.0コマ/秒 連続100 |
– | 超高速:約10コマ/秒[サイズM、S] 高速:約7コマ/秒 中速:約5コマ/秒 低速:約3コマ/秒 |
シャッタースピード | オート : 1/4~1/4000秒 全モード : 30~1/4000秒 ※開放絞り:1/1000 小絞り:1/4000 |
オート : 1/4~1/4000秒 全モード : 30~1/4000秒 ※開放絞り:1/1000 小絞り:1/4000 |
オート : 1/4~1/4000秒 全モード : 30~1/4000秒 ※開放絞り:1/1000 |
フィルムシミュレーション | クラシッククローム PROVIA/スタンダード VELVIA/ビビッド ASTIA/ソフト セピア モノクロ(+Ye/R/Gフィルター) PRO Neg.Std PRO Neg.Hi |
PROVIA/スタンダード VELVIA/ビビッド ASTIA/ソフト セピア モノクロ(+Ye/R/Gフィルター) PRO Neg.Std PRO Neg.Hi |
PROVIA/スタンダード VELVIA/ビビッド ASTIA/ソフト セピア モノクロ(+Ye/R/Gフィルター) |
下記に同センサーを搭載した『FUJIFILM XQ1』のISO感度別作成を掲載しています。
X30はEVF、チルト液晶を搭載に。さらに大型化したボディはどうでるか?
X30はシリーズ初のEVFを搭載。液晶は大型、高精細、チルト液晶化へ
Xシリーズの何よりの特長だった光学ファインダーがEVFに変更されました。クラシカルな外観にも大きく影響があるためここは賛否が分かれそうです。チルト液晶は嬉しい装備かと思います
ボディは大型化へ。バッテリー変更により撮影可能枚数が飛躍的にアップ
EVFやモニタの大型化、バッテリーの大容量化でボディサイズがひと回り大きくなりました。もともと大きさに拘らない機種ではありますが、特に奥行方面に4cm、重量で70gと大きくなっているので鞄などに入れる方は要注意です。
撮影枚数は約470枚となりましたが、これだけ大きく重くなるのであれば、従来の電池の二枚持ちの方が携帯性は良かったと思います。
製品名 | NewX30 | X20 | X10 |
---|---|---|---|
サイズ(幅x高さx奥行き) | 118.7 x 71.6 x 60.3 mm | 117 x 69.6 x 56.8 mm | 117 x 69.6 x 56.8 mm |
重さ | 約423g 本体のみ 約383g |
約353g |
約350g 本体のみ 約330g |
バッテリー | LCD表示ON 約470枚 | LCD表示ON 約270枚 | LCD表示ON 約270枚 LCD表示OFF 約640枚 |
モニタ | 3.0型 3:2 アスペクト チルト式TFTカラー液晶モニター 約92万ドット |
2.8型TFTカラー液晶モニター 約46万ドット |
2.8型TFTカラー液晶モニター 約46万ドット |
バリアングル/チルト | ○ | – | – |
タッチAF/シャッター | – | – | – |
ファインダー形式 | EVF 0.39型 有機ELファインダー 約236万ドット |
OVF アドバンスト光学ファインダー デジタルトランス液晶搭載 |
OVF マニュアルズーム連動型 実像式光学ファインダー |
ファインダー視野率(上下/左右) | 約100% | 約85% | 約85% |
X30はWi-fi搭載。動画はX20と同じくフルHD60pに対応
X30ではシリーズ初のWi-fiを搭載しました。スマートフォンへのファイル転送、リモート撮影が可能になりました。
動画機能は『X20』と変わらずですがフルHD60pは十分だと思います。ただ画質はあまり評判が良くないのでおまけの機能と思っておいたほうがいいと思います。
製品名 | NewX30 | X20 | X10 |
---|---|---|---|
ボディ内手振れ補正 | ○ | ○ | ○ |
手振れ補正方式 | 光学式 | 光学式 | 光学式 |
内蔵ストロボ | ○ | ○ | ○ |
Wi-Fi | ○ | – | – |
動画記録サイズ/フレームレート | 1920×1080 60p 1280×720 60p 640×480 30p |
1920×1080 60p 1280×720 60p 640×480 30p |
1920×1080 30p 1280×720 30p 640×480 30p |
インターフェース | microUSB HDMIマイクロ端子 |
microUSB HDMIマイクロ端子 |
microUSB HDMIマイクロ端子 |
外観を比較する
■正面
特長だった光学ファインダーがなくなったことによりスマートな外観となりました。また、グリップ形状も変更されておりよりフィットしやすい形となっています。フォーカスモードの切替レバーの位置が下に、コントロールリング設定ボタンが新設されています。
■背面
EVFの搭載、液晶の大型化により、左側にあったボタンが全体にちりばめられ、配置が大きく変更されています。
■上面
FUJIFILMのロゴの位置が変更され、シャッター横のファンクションボタンが動画撮影ボタン(ファンクション1)と兼用のボタンに変更されています。
FUJIFILM X30 vs X20 vs X10 まとめ
画質面、AF面などの基本性能ではX30とX20はほぼ同等となっています。
光学式から大きく変わったファインダー、チルト液晶、Wi-fi、撮影枚数アップ、フィルムシミュレーションの追加など『X30』は間違いなく使いやすくなっているとは思いますが、この機種にそれを求めるかどうかだと思います。
個人的にはクラシカルな外観と光学ファインダーで『X20』の方が魅力的な機種に感じます。なによりこれ以上大きくなると、ちょっと大きすぎるかなと思いました。
EVF、チルト液晶、Wi-fiに魅力を感じれば『X30』。そうではないのであれば画質面では変わらない『X20』がおすすめです!
もくじ