ミラーレンズが楽しいけど、なかなかおすすめしにくいので最近のミラーレンズのことと思ったことをまとめてみました。
先日ミラーレンズを使って撮ってきた記事を書きましたが、楽しくミラーレンズを使っています。そういえば最近ミラーレンズについてとんと話を聞かないなと思い、現在のミラーレンズ事情をあまり把握していなかったので調べてみることにしました。
ミラーレンズとは
最近カメラを初めて方なんかは、そもそもミラーレンズってなんだろう?となると思いますので簡単に説明してみたいと思います。呼び方はミラーレンズ、レフレックスレンズと呼びます。
一般的なレンズは光学系にレンズを使っていますが、ミラーレンズはその名の通りミラーを使って光を収束する仕組みになっています。ガラス玉のようなレンズが入っているわけではないので軽量で、レンズの光の波長によって屈折の量が違うということがないので色収差がほとんどないこと、面白い形のリングボケが特長となっています。レンズは入っていないわけではなく最後にちょちょっと補正するために使われています。
ミラーレンズの特徴
ミラーレンズを使うことの特徴としては、以下のようなものがあげられます。
- コンパクトで軽量
- 安価
- 色収差がほとんどない
- リングボケ
- 絞り固定
- ピントが合わせが激むず
解像度が低い- フレアがすごい
最近のレンズは小型化が進んでおり、特にマイクロフォーサーズだと35mm換算で似たような望遠で、さらにコンパクトで軽量なレンズが存在するため、進化をしていないミラーレンズのメリットは失われたものになったかもしれません。
そうは言ってもフルサイズフォーマットで400mmとなると今でも十分軽量です。また、フルサイズ対応の望遠レンズとしては安価で、現在販売しているKenkoのミラーレンズは2万程度で手に入れることができるので試しに400mmを使ってみたい。といった場合にはいい体験だと思います。
とはいえ最近のカメラはレンズ側は抑えめにしても、解像度の暴力を使えば安価な望遠レンズでもミラーレンズを使うよりも良い描写が期待できるので残念ながら、そういったメリットも少ないでしょうか。
写りとしては、色収差がほとんどないこと、特徴的なリングボケが面白いのがメリット、内面反射によりフレアが非常に発生しやすい、ピントが合う範囲が狭すぎる、軽くてF値が暗いのでブレやすい、現行の望遠レンズと比べると解像度が低いのがデメリットでしょうか。
基本的にマニュアルフォーカスでF値が固定のレンズなので、ピントをあわせる事も至難の技になってきます。現代のカメラだとISO感度を上げ放題なのでシャッタースピードはなんとかなりますが、数十メートル先の被写体にピントをあわせても、身体がほんの少し前後するだけでピントが外れてしまい、長い焦点距離のレンズが故に大気のチリの影響をもろに受けてコントラストが下がりピーキングが機能しにくい状況に陥ります。いかにAFが偉大なのかが身にしみて分かります。
追記> 同価格帯の大抵の光学レンズに比べれば解像度は高い。との指摘をTwitterでいただきました。しっかりピントがあえば同年代の同価格帯の望遠レンズよりは十分解像度が高いと思います。
明るい太陽下で順光から斜光で撮影するのがセオリーだと思いますが、ちょっと油断をするとすぐにフレアが発生してすごいことになるのでポジション取りも大切になってきます。最終兵器「かすみの除去」が大活躍するレンズですね。
ミラーレンズで上手く撮るには
最近ミラーレンズを使っていて、上手く撮影するこつを考えたのでまとめておきます。
- ミラーレスカメラの拡大表示でピントを追い込む
- 手持ちだと特にブレやすくピントを追い込みにくいのでとにかく頑張る
- 一脚、三脚を使う
- 天気の悪い日に使わない
- 天気が良くてもモヤってる日は注意
ミラーレンズはほんとにピントが合う範囲が狭いので、ひたすら追い込む必要があります。手持ちだとレンズが軽く、ファインダーや画面がブレやすいので特に根気が必要です。一脚や三脚があれば撮影しやすいですが、せっかく軽くて機動力があるので勿体ないでしょうか。
天気が悪い日や、湿度が高かったり遠景にモヤがかかっている日は特に注意が必要です。コントラストが低いと思われている原因はこれに起因することが多々あります。
現在販売されているミラーレンズ
現在販売されているミラーレンズは、一般的なレンズ交換式のカメラ用のレンズになると、海外の謎メーカーを除けばケンコー・トキナーさんから販売されている「400mm F8 N II」一択です。こちらのレンズはTマウントになっているので、後ろ側を変えれば様々なマウントで使用できます。
「400mm F8 N II」は2017年9月にモデルチェンジされたレンズですが、もとは2012年発売のものでそこから光学系は変わらず、内面反射の対策を施したモデルのようです。
値段はAmazon価格で¥17,364(2021年1月24日現在)です。こんな値段で400mmの望遠レンズが手に入る。と思えば安いかもしれませんがどうでしょうか。
ニコンFマウント
aAマウント
aEマウント
ペンタックスKマウント
Xマウント
マイクロフォーサーズマウント
キヤノンEF-Mマウント
ニコン1マウント
ニコンFマウント
ペンタックスKマウント
(ミラーレンズ)
(ミラーレンズ)
コンパクトで軽量だったら試してみようかな。と思いましたが、現在所有している Tokina 500mm RMC と比べてみると大きさも重量もこちらの方が軽いみたいです…。光学系も2012年から変わっていませんし、評判からみても過去のミラーレンズと比べても解像度が良くなっている。ということはなさそうなので今のレンズを大事に使って行こうかなと思います。
ちなみにTマウントとレンズの間に挟む2倍テレコンも販売されていました。APS-Cのカメラで使えば 400 x 2 x 1.5 で 1,200mmの超望遠となります。素敵ですね。
6年程まえのフォトヨドバシさんの旧型のレビューです。これをみると中々使えそうに思えますね!フォトヨドバシは写真が上手すぎるのでついつい乗せられそうになります。
全然知らないメーカーのミラーレンズをレビューされているのがすごいです。ただ、妙に解像度が高く感じるのは現像の影響でしょうか?この記事にも書かれていますが、ミラーレンズは歩留まりが非常に悪いので、ばしっとジャスピンで撮影出来ていると他のレンズでは味わえない気持ち良さがあります。評判のいい、タムロン、キヤノン、トキナーのものも評価していただきたかった…!
こちらの何故ミラーレンズが売っていたのか?の考察が面白いです。現在では光学性能も上がって安価でいい望遠レンズが手に入りやすくなりましたが、昔は望遠レンズがステータスなことや、筐体が金属なこともあり、超望遠レンズになると「でかい、重い、高い」と手軽さとはほど遠いレンズだったので需要があったのかもしれませんね。
ここで解説もされている TAMRON SP 500mm/f8 55BB はミラーレンズの中でも評価の高いレンズです。購入時にこれかTokinaで迷った挙げ句にコンパクトなTokinaを選んだ気がします。TAMRON SP 500mm/f8 55BB は出玉もよく見かけるので、これから試してみたい場合にいいかもしれません。
ニッコール千夜一夜物語でも取り上げられており、レンズ構成と特徴が詳しく解説されています。<New>Reflex-Nikkor 500mm F8は何気に私と同じ誕生年でした…。これは入手せねば…!
激ムズだけど個性的で楽しいレンズ
ミラーレス時代となったことで、ボディ内手ブレ補正、ISO感度爆上げ、ピーキングと機能を駆使することである程度快適に撮影することができるようになっているので、ある意味時代が追いついたと思います。昨年キヤノンが発売した絞り固定の超望遠レンズ「RF600mm F11 IS STM」「RF800mm F11 IS STM」はそんなカメラの機能をとても生かしたレンズだと思いますので、他のメーカーももっとやってほしいです。
ミラーレンズはピントは激むず、逆光に激弱、歩留まりも悪いので、あまり人におすすめできるレンズではありません。ただ、その難易度のおかげもあって、たまにハッとするような写真が撮影できると嬉しさもひとしおです。販売されているレンズが少ないのですすめることも難しいですが、折角レンズ交換式のカメラがあるならたまにはこういったレンズも面白いんじゃないでしょうか。