ニコン D810 vs D750 vs D610 機能比較。D750からみる、Nikon FXシリーズフルサイズセンサーモデル別の違い
ニコンからFXフォーマットフルサイズセンサー搭載として新しく発売される『Nikon D750』。ニコンの最新FXフォーマット中級機と、上位モデル『D810』、下位モデル『D610』を比較していきたいと思います!
発売日、特長はそれぞれ下記となっています。
製品名 | D810 | [NEW]D750 | D610 |
---|---|---|---|
発売時の価格 | \350,000 | \230,000 | \200,000 |
メーカー | ニコン | ニコン | ニコン |
発売日 | 2014年07月17日 | 2014年09月25日 | 2013年10月19日 |
位置付け | 上級機 | 中級機 | 初級機 |
注目機能 |
『D810』の特長
他 |
『D750』ボディの特長
『D750』機能の特長
他 |
『D610』の特長
他 |
よく買うショップリンク |
以下、比較を見ていきます。
『D750』の最大の違いは三つのFX初『炭素繊維複合素材(セリーボ)』『チルト式液晶モニタ』『Wi-fi』
『炭素繊維複合素材(セリーボ)』の採用による小型軽量化。
ボディの前面に『炭素繊維複合素材(セリーボ)』を採用することで、『チルト式液晶モニタ』を搭載しつつ、下位モデル『D610』よりも多機能ながら小型・軽量を実現しました。
上下稼働の『チルト式液晶モニタ』を初搭載
上下稼働となる『チルト式液晶モニタ』はDX機合わせても、初の採用となります。光軸上にあることで、ハイアングル、ローアングル。三脚に乗せての操作などが容易になります。『D5000』に搭載されたモニタとは別に『Nikon 1 V3』のモニタが近い形となります。
そして、FXフォーマット初となる『Wi-fi』を搭載し、スマートフォンへの転送や、リモートシャッターが利用可能になりました。EXPEED4の採用や内部機構の刷新の影響からか、バッテリーライフも向上しています。
製品名 | D810 | [NEW]D750 | D610 |
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ボディ外装 | マグネシウム合金 | 前面カバー [セリーボ 炭素繊維複合素材] 上面 背面 [マグネシウム合金] |
マグネシウム合金 |
バリアングル | – | ○ | – |
モニタサイズ | 3.2 inch 123 万ドット | 3.2 inch 123 万ドット | 3.2 inch 92 万ドット |
Wi-Fi | – | ○ | – |
サイズ(幅x高さx奥行き) | 146 x 123 x 82 | 141 x 113 x 78 | 141 x 113 x 82 |
重さ | 880 g | 750 g | 760 g |
インターフェース | USB3.0 HDMI |
USB2.0 HDMI |
USB2.0 HDMI |
電池/電池型番 | EN-EL15 | EN-EL15 | EN-EL15 |
参考撮影枚数 | 1200 | 1230 | 900 |
対応記録メディア | コンパクトフラッシュ SDHCカード SDカード SDXCカード |
SDHCカード SDカード SDXCカード |
SDHCカード SDカード SDXCカード |
『D750』は新開発のCMOSセンサー。画素数微増、『EXPEED4』による高感度性能UP。ローパス搭載
画素数は微増。高感度性能がアップ。ローパス搭載モデルか
『D750』は新たに新開発されたCMOSセンサーを搭載しました。D610と同等の 有効2,432 万画素 、常用ISO感度が中間となる ISO100 ~ 12800 。『EXPEED4』搭載で画素数はほぼ据え置きと高感度性能の向上が気になります。
個人的には『D810』クラスの画素数は必要ないので、画素数を抑えつつ、より高感度に強いカメラは歓迎です。
- [PY] フォトヨドバシ Nikon D810 SHOOTING REPORT | photo.yodobashi.com |
- [PY] フォトヨドバシ Nikon D750 実写レビュー | photo.yodobashi.com |
- [PY] フォトヨドバシ Nikon D610 SHOOTING REPORT | photo.yodobashi.com |
連写性能は秒間6.0から6.5と微増。連続撮影枚数もアップ
連写性能は、秒間6.5枚と若干速度がアップしながら、連続撮影枚数でもD610の上をいきます。シャッタースピードなどの仕様は下位モデルとなる1/4000となります。
D810に搭載された電子先幕シャッターなどは非搭載となっています。
製品名 | D810 | [NEW]D750 | D610 |
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画像処理エンジン | EXPEED 4 | EXPEED 4 | EXPEED 3 |
画素数 有効画素数 |
3,709 万画素 有効 3,635 万画素 |
2,493 万画素 有効 2,432 万画素 |
2,466 万画素 有効 2,426 万画素 |
映像素子:企画 映像素子:サイズ 映像素子:種類 |
フルサイズ 35.9 ~ 24.0 CMOS |
フルサイズ 35.9 ~ 24.0 CMOS |
フルサイズ 35.9 ~ 24.0 CMOS |
画素ピッチ | 4.9 μm | 6 μm | 6 μm |
ローパスレス | ○ | – | – |
ISO感度 | 64 ~ 12800 [拡張感度 : 32 ~ 51200] |
100 ~ 12800 [拡張感度 : 50 ~ 51200] [ISOオート : 50 ~ 51200] |
100 ~ 6400 [拡張感度 : 50 ~ 25600] |
記録フォーマット | JPEG RAW[14bit] RAW[12bit] RAW(S)[12bit] TIFF |
JPEG RAW[14bit] RAW[12bit] |
JPEG RAW[14bit] RAW[12bit] |
連写性能 | 6.0 | 6.5 | 6.0 |
連続撮影コマ数 | RAW : 28 JPG : 100 TIFF : 25 |
RAW : 15~ JPG : 87~ |
RAW : 14~ JPG : 51~ |
低速シャッタースピードでのコマ数無制限の連続撮影 | |||
シャッター形式 | フォーカルプレーンシャッター/電子先幕シャッター | フォーカルプレーンシャッター | フォーカルプレーンシャッター |
シャッタースピード | 1/8000 ~ 30 | 1/4000 ~ 30 | 1/4000 ~ 30 |
DxOMark Raw画質評価 | |||
総合評価 | 97 | – | 94 |
ポートレイト (色深度) | 25.7 | – | 25.1 |
風景(ダイナミックレンジ) | 15 | – | 14 |
スポーツ(限界ISO感度) | 2853 | – | 2925 |
『D750』は-3EVの低輝度AFに対応!グループエリアAFも搭載。
『D810』を超える-3EVの低輝度AFに対応
『D750』は、AFセンサーに『アドバンストマルチCAM3500 II』を搭載し、-3EVの低輝度AFに対応しました!-3EVは月明かりの下程度の明かりだそうです。AFポイントも51点クロスタイプセンサー15点と『D810』と同等です。
91KピクセルRGBセンサー搭載。ナイトビジョンモードも
『D750』には、『D810』と同じ、より正確な測光を行える『91KピクセルRGBセンサー』を搭載しています。
さらには、ナイトビジョンモードが搭載されたようですが、あまりどこも解説されていません。D5100時代に搭載されたサンプルが下記にありましたのでリンクしておきます。
製品名 | D810 | [NEW]D750 | D610 |
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オートフォーカス | |||
AF方式 | 位相差AF | 位相差AF | 位相差AF |
AFセンサー | アドバンストマルチCAM 3500FX | アドバンストマルチCAM3500 II | マルチCAM4800 |
AF測距点数 | 51点 (クロスタイプ 15点) |
51点 (クロスタイプ 15点) |
39点 (クロスタイプ 9点) |
AF輝度検出範囲 | -2.0 ~ 19.0 | -3.0 ~ 19.0 | -1.0 ~ 19.0 |
AFエリア | シングルポイントAFモード ダイナミックAFモード(9点、21点、51点) 3D-トラッキング グループエリアAFモード オートエリアAFモード |
シングルポイントAFモード、ダイナミックAFモード(9点、21点、51点) 3D-トラッキング グループエリアAFモード オートエリアAFモード |
シングルポイントAF ダイナミックAF(9点、21点、39点) 3D-トラッキング オートエリアAF |
AFモード | ・オートフォーカス: シングルAFサーボ(AF-S)またはコンティニュアスAFサーボ(AF-C) 被写体条件により自動的に予測駆動フォーカスに移行 ・マニュアルフォーカス(M): フォーカスエイド可能 |
・オートフォーカス(AF) シングルAFサーボ(AF-S) コンティニュアスAFサーボ(AF-C) AFサーボモード自動切り換え(AF-A)を選択可能 被写体条件により自動的に予測駆動フォーカスに移行 ・マニュアルフォーカス(MF) フォーカスエイド可能 |
オートフォーカス(AF): シングルAFサーボ(AF-S) コンティニュアスAFサーボ(AF-C) AFサーボモード自動切り換え(AF-A)を選択可能 被写体条件により自動的に予測駆動フォーカスに移行 ・ マニュアルフォーカス(M): フォーカスエイド可能 |
AF補助光 | ○ | ○ | ○ |
タッチAF/シャッター | – | – | – |
自動露出機能 | |||
測光方式 | 91Kピクセル(約91,000ピクセル)RGBセンサーによるTTL 開放測光方式 | 91Kピクセル(約91,000ピクセル)RGBセンサーによるTTL開放測光方式 | 2016分割RGBセンサーによるTTL開放測光方式 |
測光モード | ・マルチパターン測光: 3D-RGBマルチパターン測光III(G、EまたはDタイプレンズ使用時) RGBマルチパターン測光III(その他のCPUレンズ使用時) RGBマルチパターン測光(非CPUレンズ |
・マルチパターン測光 3D-RGBマルチパターン測光III(G、EまたはDタイプレンズ使用時) RGBマルチパターン測光III(その他のCPUレンズ使用時) RGBマルチパターン測光(非CPUレンズの |
マルチパターン測光: 3D-RGBマルチパターン測光II (G、EまたはDタイプレンズ使用時) RGBマルチパターン測光II (その他のCPUレンズ使用時) RGBマルチパターン測光(非CPUレン |
測光範囲 | ・マルチパターン測光 中央部重点測光 ハイライト重点測光:0~20EV ・スポット測光: 2~20EV(ISO 100、f/1.4レンズ使用時、常温20℃) |
・マルチパターン測光 中央部重点測光 ハイライト重点測光 0~20EV ・スポット測光 2~20EV(ISO 100、f/1.4レンズ使用時、常温20℃) |
マルチパターン測光 中央部重点測光:0~20 EV ・ スポット測光: 2~20 EV(ISO 100、f/1.4レンズ使用時、常温20℃) |
露出補正 | 範囲:±5段、補正ステップ:1/3、1/2、1ステップに変更可能 | P、S、A、M、SCENE、ナイトビジョンモード時に設定可能、範囲:±5段、補正ステップ:1/3、1/2ステップに変更可能 | P、S、A、M モード時に設定可能 範囲:±5段 補正ステップ: 1/3、1/2ステップに変更可能 |
『D810』レベルの動画性能を搭載!最大ビットレートは42Mbps
ビットレートは42Mbps
『D750』のビットレートは『D810』と同等の最高42Mbpsです。D610の24Mbpsと比べてより高い画質で保存できます。
その他機能も『D810』と同等。動画ユーザーにはチルト式液晶が最大の利点
『D750』では新たに専用の動画撮影メニューを新設。1080/60pへの対応や、各機能で『D810』と同等の機能を搭載し、ビットレートの向上から、おまけ程度であった動画撮影機能にも本格的に取り組んできたようです。
製品名 | D810 | [NEW]D750 | D610 |
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動画仕様 | |||
動画記録サイズ/フレームレート | 1920×1080 [60p/50p/30p/25p/24p] 1280×720 [60p/50p] |
1920×1080 [60p/30p/25p/24p] 1280×720 [60p/50p] ※標準/★高画質選択可能 ■最長記録時間 最長29分59秒(画質によっては最長20分/10分) |
1920×1080 [30p/25p/24p] 1280×720 [60p/50p/30p/25p] ■最長記録時間 最長29分59秒 |
ビットレート | 42 Mbps(60p) 24 Mbps 12 Mbps |
42 Mbps(60p) 24 Mbps 12 Mbps |
24 Mbps 12 Mbps 8 Mbps |
ファイル形式 | MOV | MOV | MOV |
圧縮方式 | H.264 MPEG-4AVC |
H.264 MPEG-4AVC |
H.264 MPEG-4AVC |
音声記録形式 | リニアPCM | リニアPCM | リニアPCM |
その他動画機能 | チルト式液晶モニターで構図の自由度が | ||
1080/60p対応 | 1080/60p対応 | ||
FX、DXベースを選べるマルチエリアモードフルHD Dムービー | FX、DXベースを選べるマルチエリアモードフルHD Dムービー | FX、DXベースを選べるマルチエリアモードフルHD Dムービー | |
動画撮影メニューを新設 | |||
動画撮影中にも作動可能なパワー絞り | 動画撮影中にも作動可能なパワー絞り | ||
Mモード時の感度自動制御 | Mモード時の感度自動制御 | ||
録音帯域、30段階の音量微調整などのハイファイな音声制御 | 録音帯域、30段階の音量微調整などのハイファイな音声制御 | ||
『非圧縮映像のHDMI出力』に対応 | 『非圧縮映像のHDMI出力』に対応 | 『非圧縮映像のHDMI出力』に対応 | |
ハイライト領域の斜線表示 | ハイライト領域の斜線表示 | ||
露出のばらつきを抑えるカメラ内微速度動画 | 露出のばらつきを抑えるカメラ内微速度動画 | ||
カメラ内での動画編集に便利なインデックスマーキング | カメラ内での動画編集に便利なインデックスマーキング | カメラ内での動画編集に便利なインデックスマーキング |
前面が金属ではない、かつ小型の『D750』で記録時間が『D810』と同等です。素材の変更による、放熱に関するデメリットはそこまで気にしないでいいのかと思います。
Nikon D810を使ったショートフィルム。
『D750』はファインダー内有機EL表示を搭載。接眼は残念ながら四角。
ファインダー性能は、ほぼ同等ながら『D810』で初採用された、ファインダー内有機EL表示を搭載しました。しかしながら、接眼は下位モデルとなる四角となっています。
製品名 | D810 | [NEW]D750 | D610 |
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ファインダー | |||
ファインダー形式 | ペンタプリズム | ペンタプリズム | ペンタプリズム |
ファインダー視野率(上下/左右) | 100 x 100 | 100 x 100 | 100 x 100 |
ファインダー倍率 (35mm換算) | 0.7 | 0.7 | 0.7 |
ファインダー内表示 | 有機EL表示 | 有機EL表示 | |
接眼 | 丸形 | 角形 | 角形 |
その他機能 | |||
ゴミ取り機構 | ○ | ○ | ○ |
内蔵ストロボ | ○ | ○ | ○ |
バルブ撮影 | ○ | ○ | ○ |
セルフタイマー | 20 10 5 2 |
20 10 5 2 |
20 10 5 2 |
クロップモード | 1.2× DX 1.5× 5:4 |
1.2× DX 1.5× |
DX 1.5× |
ニコン D750 : D810 : D610 を画像で比較する
■正面
若干角が立ったデザインは継承され、D610の形状に近い形となっています。D810との違いは、グリップ形状。ミラーアップ、ファンクションボタンの位置。シンクロターミナル、10ピンターミナルの有無です。
■背面
背面の形状もD610に近いです。一番の違いはD750に初搭載された『チルト式液晶』です。接眼は四角。独立したAF作動ボタンの有無。右手ホールド部の形状。他、ボタンの配置が微妙に変更されています。
■上部
D810とは左のダイアルが大きな違いです。また、フラッシュ上部の形状がD810のみ鋭くなっています。
■背面、斜め
ニコンの一眼レフとして、上下のチルトは初。Nikon 1 V3のチルトに近い形状です。
まとめ
いかがでしたでしょうか??
主な機能を『D810』から継承し、思った以上に高いバランスでまとめてきた機種だと思います。
写真に関してはクラス最高の画素数にローパスレスなどなど、やはり『D810』でなければならない理由があると思いますので比較対象にはなりえません。
『D610』と比較した場合では、『D750』は確かに機能的には向上してはいますが、同じローパスレス搭載モデルで大差はないでしょう。チルト液晶の有無、ボディの材質の違い、動画撮影機能、価格が大きな判断基準となるかと思います。
動画を撮るユーザーであれば、ビットレートが向上し、機能も『D810』と同等。チルト式液晶モニタを搭載した『D750』が有力な選択肢に。写真だけでいいのであれば、マグネシウムボディで基本の機能を抑え、さらには安価な『D610』が有力かと思います。
いずれにしても、フルサイズ機を購入する方は、どうせ買うならいいものを。と行った思考が大なり小なりあると思いますので、価格の差が少なければ『D610』を購入する選択肢は狭くなりそうです。
もくじ