センサーにカビの生えたD700を乗り越え、購入時の反省を生かしつつ、タイミングを見てようやく状態のいいNikon D700を入手してから半年程立ちました。コロナ禍の影響もあって、なかなか撮影を楽しむことができない日々をすごしていましたが、基本に立ち返ってD700でのんびり撮影したいと使い始めるや、日に日に使用頻度が上がっているD700について書いてみたいと思います。

D700の発売は2008年。ニコンのデジタル一眼レフとして初めてのフルサイズセンサー搭載となったフラグシップモデルD3のセンサーを使ったニコンの2台目となるフルサイズデジタル一眼レフカメラです。

 

堂々とした佇まいがかっこいいですね。私が写真を始める際、どのメーカーのどのカメラを購入しようか悩んでいた時に、店頭に並ぶD700などを触ってシャッター音が理由でニコンに決めた経緯があります。

私にとってのカメラ選びは自分とのフィーリングが会うかの優先順位がとても高いです。出てくる写真ももちろん大事ですが、それ以上に使っていて楽しいと思えるフィーリングの合うカメラが一番楽しく長く使えます。ここ2年ほどはできれば軽量な機材がいいと思って揃えていましたが、お出かけや日常のちょっとした写真であれば、多少大きくても重たいカメラが1台あってもいいんじゃないかと思い直しました。

 

私のカメラ人生はニコンのD5000から始まりD90でズブズブとハマり、そこからD750を長らく愛用してきました。今メインで使っている富士フイルムのカメラもとても好きですが、どうしてもニコンの一眼レフのボディの良さには敵わず、1台はニコンのデジタル一眼レフを持っておきたいとニコンのカメラを探してしまいました。

そこでいまさらながらD700を選んだ理由は以下です。

  • 丸窓機
  • 低画素機

シンプルなんですがこれがなかなか難しい条件です。ニコンの丸窓機はD一桁機を除いて高画素に特化しているため、丸窓機の上位モデルだと2,000万画素台のデジタル一眼レフカメラが一つもないのです。フルサイズで1,000万画素台の低画素機はD1桁機と、かろうじてD700かDfかしかないという偏リすぎているラインナップ。ちなみにD700はD3の一センサーを、DfはD4のセンサーを搭載しています。

個人的に3,000万画素台はサブ機に据えるとなるとファイルサイズが大きく、取り回しが悪いのでいまいちです。今のデジタル機なら多少古くても。と思っておりましたが結局憧れのD700に導かれました。

 

実際に触ってみると最&高です。D700は995gとボディだけで1kg近い重量級。無骨なフォルムで文句のつけようがないマッシブなボディ。現行に比べると浅めな手によく馴染むグリップ。なにより「カシャァン」と鳴り響く甲高いシャッター音が堪りません。

シャッタースピードは1/8000の高速シャッターを搭載していますが、ISO感度が200始まりなので明るいレンズを使うと日中でのシャッタスピードがやや足りないという贅沢な悩みです。記録はコンパクトフラッシュのみですが、SDカードが使えるアダプタが販売されているのでそれを使っています。低画素基なので32GBのSDカードでJPG+RAWで800枚オーバーの安心感。そして一眼レフは平気で数日使えるバッテリーの持ちが最高です。本体がUSBで充電できるかなんてことを気にしなくていいのです。

 

ぶらっと写真 #17
かめらと。

ぶらっと写真 #17

D700, Ai Nikkor 28mm F3.5, 28mm, 1/40秒, ƒ/4, ISO200

肝心の写りですがなんせ12年前のデジタル機。過去の経験でニコンの古い画像処理エンジンは色に癖がある。というイメージが頭に付いていましたが、使ってみると素直な写りで私にとって十分すぎる画質でした。過去の自分は未熟故に使い切れていなかったように思えます。

そしてしばらくフジフイルムのカメラでJPG撮って出しを鍛えたおかげかそれも満足するレベル。以下の記事はJPG撮って出しに少しだけ修正を加えたものです。

 

D700, Ai Micro-Nikkor 55mm f/2.8S, 55mm, 1/30秒, ƒ/4, ISO400

有効画素数1210万画素は解像度でいえば4256x2832pxです。一般的に4Kと呼ばれる解像度が3840x2160pxなのでちょうどそれを上回るくらいになります。見る側としても当分はこの4Kサイズが主流なので高精細なディスプレイにもギリギリ耐えられることができるのもすてきなポイントです。

 

D700, Ai Nikkor 50mm F2, 50mm, 1/1000秒, ƒ/8, ISO200

D700のRAWは現行機と比べると流石にハイライトとシャドウの粘りがありません。逆にフジフイルムのAPS-C機のような感覚で撮影できるので、ハイライトをどう使うかが使っていて楽しいカメラです。

 

ぶらっと写真 #7
かめらと。

ぶらっと写真 #7

D700, Ai Nikkor 50mm F2, 50mm, 1/800秒, ƒ/2.8, ISO200

ニコンの古いデジタル機は写真が黄色くなりそうでどうなんだろう。と思っていましたが、単に過去の自分は基本的なテクニックがなかっただけだったと分かりました。

 

D700が2代目のフルサイズセンサー搭載機として発売されたのが2008年。Nikon初のデジタル一眼レフが発売されたのが1999年のNikon D1なので、ここまですでに9年の歳月が経過しています。その間十数機もの名機が先行していてくれていたおかげもあってデジタル一眼レフカメラとしての機能はとても成熟しています。

ファンクションボタン、AE/AFロックボタン、プレビューボタンがそれぞれ機能を割り当てることができるので、ライブビューを割り当てたり、コマンドダイアルとの併用で非CPUのレンズ設定の切り替えを割り当てたり、インジケーターの+-の方の変更、ダイアルの回転方向による操作の切り替え、マイメニュー登録など、D750の時に良く使っていた機能はほぼほぼ網羅され、変更しておきたい設定が揃っていました。設定関連は以下の備忘録がとても役に立ちました。

 

ニコンの丸窓です。視野率は95%と周辺がケラれてしまいますが倍率は0.72倍とメガネをかけていてもなかなか見やすい光学ファインダーです。

上位モデルなのでアイピースシャッターもしっかり搭載されているのが実にすてきです。人によってカメラに求める優先度が変わってくると思いますが、私にとってはカメラはフィーリングが大事。ここまで戻ってしまって大丈夫かな?とも思いましたが使ってみると思ったていた以上にしっくりきました。

 

親指AF用のボタンが用意されているのもポイント高しです。

 

昨今のカメラの背面ディスプレイはギャップレス仕様が当たり前ですが、この時代は背面ガラスと液晶までに空間があるので、寒暖差の大きい場所に持っていくと内部から液晶が曇ってしまいます。また、そのがっしりとした堅牢性のボディのおかげで内部の水分が蒸発せず、結果液晶が曇っている個体が多数あります。この辺りは気をつけておきたい所ですね。

 

最後に使っていたニコン機はD750でしたが、ボタンのレイアウトが随分違うので操作に戸惑いがありました。特に決定となる「OK」ボタンが左下にありますが、マルチセレクターの中央のボタンも同じような使い方ができ、とはいえ「OK」ボタンじゃなきゃいけない場合と、そうじゃないことがあったりとUIの操作が微妙にバラバラです。マルチセレクターの酷い操作性などパーツの問題もあると思いますが、最近の機種と比較するとこの辺りはまだまだ荒削りな印象です。

 

かっこいいしか言ってないですがD700はとてもかっこいいのです。

もし実用的なものを手に入れたいと考えているのなら、シリアルナンバーができるだけ若い番号を選んだ方がいいかと思います。発売は2008年、販売終了が2011年(改正電気用品安全法のせいもあって以外と早い)なので3年の開きがあります。D700は難有り品が多いカメラでもあり、以前にセンサーにカビが生えた個体に当たってしまったことがあるので、そういった意味でもカメラ屋さんから購入すると安全だと思います。

 

オールドレンズと呼ばれるレンズ達や、フィルムな一眼レフカメラは20年、30年のベストセラーな機材も存在します。それに比べるとデジタル機器はどうしても数年で陳腐化、素材や基盤の劣化などで故障せざるを得ない事も多く世代交代が早すぎて消費される一方です。

フィルムと違って写真を写し出すセンサーを交換できないのも欠点ですが、好条件で撮影すれば鑑賞して楽しむ分には問題なく、日常の写真を撮る目的ならこのカメラは十分使えるカメラだと使ってみて感じました。

まだまだ10年選手なのでオールドと呼べるものではありませんが、時代を築いたいろんなデジタル一眼レフカメラを振り返ってみると思わぬ発見があるかも知れないと感じた一台でした。

 

 

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