先日ブログを書いた Pergear 25mm F1.8 の記事がきっかけでPergearさんから新しく販売が開始された Pergear 12mm F2 のXマウントを提供していただきました。
超広角レンズは、標準レンズや広角レンズなどのスタンダードな画角を揃えた後に欲しくなるレンズだと思いますが、標準なレンズよりも値段が高く、目的がなければ使うシーンも限られてきますので、なかなか体験しにくいレンズだと思います。
Pergear 12mm F2 はAPS-Cフォーマットに対応したレンズで、35mm換算18mmの超広角レンズとして使用することができ、1万円台(¥17,999 2020年12月10日現在)で購入することができるリーズナブルな超広角レンズです。最近の激安レンズは侮れませんが、そんな Pergear 12mm F2 は果たしてどこまでできるのか。何日か使ってみてのインプレッションと簡単なレビューを書いてみたいと思います!
Pergear 12mm F2
Pergear 12mm F2 はAPS-Cのイメージサークルに対応し、Xマウント、ソニーEマウント、ニコンZマウント、マイクロフォーサーズマウントの4つのマウントが用意されています。マイクロフォーサーズ用は35mm換算24mmになってしまい、画角の恩恵が受けにくいのでAPS-Cのカメラにおすすめでしょうか。
Xマウントで言えば、富士フイルムが販売しているXマウントの超広角の単焦点レンズのラインナップは乏しく、一番の広角で XF14mmF2.8 R で35mm換算約21mmのレンズです。それよりも広く使えるので意外と面白い選択肢になります。
仕様と比較
Xマウント
aEマウント
キヤノンEF-Mマウント
ニコンZマウント
Xマウント
aEマウント
マイクロフォーサーズマウント
aEマウント
[35mm判換算]18 - 18mm相当
[35mm判換算]18 - 18mm相当
[35mm判換算]18 - 18mm相当
[35mm判換算]21 - 21mm相当
(非球面レンズ : 2枚 異常分散レンズ : 2枚 UMCコーティング)
(非球面レンズ : 1枚)
(非球面レンズ : 2枚 異常分散レンズ : 3枚)
(非球面レンズ : 2枚 異常分散レンズ : 3枚 HT-EBCコーティングレンズ)
(標準30cm~∞ マクロ18cm~∞)
先に簡単な仕様と比較を置いておきます。
絞り羽根は10枚の遠景絞り、9群12枚で
Xマウントの近い画角のレンズの仕様を比較してみました。大きさは近いですが、重量が絞り値がf/2から始まることや金属ボディなため重くなっています。富士フイルムやカールツァイスの新品レンズの値段と比較すると1/4以下なので比較しても…といった感じでしょうか。
ちなみに実測の重さになると、Xマウントはフード、キャップ付きで297g。なしだと267gになります。軽量なシリコンキャップがいい組み合わせになるかもしれません。
このレンズ。私の個体(Xマウント)でフード、キャップ付きで298g、なしで267gでした!Xマウントの方が重いですね!
— かめらと。 (@camera10me) November 19, 2020
その他の機材と比較する場合はこちらから機材を選んでみてください。
外観・操作感
私のレンズではマウントのガタツキはありませんでしたが、ピントリングが若干ガタついているような感触です(ガタつかせようとすると動く程度)。ピントリングにローレットが刻まれており、絞りリングのデザインがちょっと不思議な形状になっています。
感触として、ピントリングはやや軽めですが滑らかに回すことができます。無限遠のマークの少し先まで回せてしまうオーバインフな仕様ですが、前回の25mmよりは合わせやすい印象です。絞りリングはクリックのない無段階調整です。ピントに比べると大分重めですが、引っかかりもなく操作感は悪くないと思います。
こちらのレンズも電子接点がないのでカメラ側に焦点距離や絞りの情報が反映されません。初めて使う方はカメラ側でレンズの設定を行いましょう。
先日購入した Pergear 25mm F1.8 と比べると大型なレンズになっています。個人的には1段暗くしてレンズを小さくしてもと思いましたが、超広角レンズは小型にすると歪曲も大きくなりそうなのでバランスなのかなと思います。
フィルター径は62mm、フードはねじ込み式です。フィルターを使用する際は取り外す必要があります。やや出目金型のレンズですがフィルターを取り付けられるのはありがたい仕様ですね。
絞りのプリントがちょっと怪しい…?
絞り値のプリントですが、F5.6とF11のプリントがない(聞いてみたらデザインのスペースの都合上のようです。)ご愛嬌な仕様です。フォントの幅がちぐはぐなのも気になりますね。
絞り別の解像度・収差
こんなシーンを撮影して確認です。暗い時間になりすぎましたがいいでしょう。
中央
28mm F1.8と同様に中央の解像度は悪くありません。開放でも比較的解像しており、F2.8でも実用的な解像度だと思います。ピークはF4~F8でしょうか。
F5.6はプリントがないので中間に、F11は撮り忘れです…。
周辺の解像度と収差、光量低下
写真の左上です。解像度に関してはこちらも思ったよりも優秀です。ピークはF8だと思いますが、F2.8でも比較的解像しています。F16まで絞ると広角特有の周辺の引っ張られた描写が少なくなります。
光量落ちはF8まで絞ってもはっきり分かります。この辺りは精度の問題か、左側の方が少なく、右側の落ち込みが激しいです。
古い20mm前後の超広角レンズは、大手メーカーでも波をうったような歪曲収差が出ますが、Pergear 12mm F2 は安いなりによく抑えられていると思います。光の反射が厳しい場面ですが収差も気にならずに優秀な描写です。
歪曲収差
カッター板を近距離で撮影したので雑な確認になりますが歪みはこんな感じです。F8まで絞って撮影したものですが先程の写真と比べると周辺の解像度も悪くなっています。遠景と比べると近景の場合は前玉の球形が補正しきれていない印象です。右側の光量落ちが激しい。と書きましたが、右側の色かぶりの影響もあると思いました。
もう一つ、ピーキングを使ってピントの調整をしていたら面白かったのがこちらです。広角レンズでA3程度の被写体を撮影するとどうしても寄って撮影する必要があり、その時に現れた現象です。開放のF2でピントを調整していると、中心だけピントが抜けた描写になり、ピントのドーナツ化現象が起こりました。面白いですね。
致命的にネガティブな要素ではありませんが、絞り開放で寄った状態で壁などを撮るといったシーンで注意でしょうか。先程の写真でも分かるように遠景を撮影している分には問題はありません。出目金型のレンズにはこういった問題が起こるんだなと勉強になりました。
Pergear 12mm F2 で撮ってきました。
25mmに感じたようなフレアが起こりにくく逆光でも意外と撮影できます。収差が全体的に抑えられているのがお値段以上のポイントだと思います。
ボケも柔らかくていいですね。先程の観点から、近景の描写は外側がぼけてしまうので、被写体を中央に寄せるといいと思います。
最短撮影距離は 0.2 m なので思った以上に寄って撮影することが可能です。
安くても単焦点レンズらしさが出るとてもクリアな描写でとてもいいですね。
絞り羽根が10枚なので、絞り込めば対称でキレイな光芒が現れます。
サンプルがありませんが、光源を画面外の左上、右上などに配置すると、はっきりとしたフレアが現れます。花形フードの隙間から入る強い光源が原因だと思います。
コーティングの影響か、写真に出てくる色はすこしくすんだようなノスタルジックな色味です。
後で確認して分かりましたが、光源がたくさんあるような場所だと、思わぬゴーストやフレアが画面内に現れます。
暗いシーンだとピントが難しいですね…。
Pergear 12mm F2 は確かに癖がたくさんあるレンズですが、中央の解像度が高く、絞っての遠景なら扱いやすい、寄っても面白いレンズだと思いました。せっかくF2から始まるので、星撮りなども試してみたいですね。
また、Xマウントだと超広角のレンズラインナップが乏しいことや、純正レンズの値段が高いことからある程度需要があると思います。Amazonのセールの時期に値上げされていましたが、現在は17,999円(2020年12月10日現在)と、この手のレンズの中でもお安く、超広角レンズの体験にもとてもいいレンズではないでしょうか。
価格が落ち着いたのが最近で期限がぎりぎりになってしまっていますが、Pergearさんから5%OFFになるクーポンを頂きましたので良ければお使いください!