夏の写真といえばスッキリとした青空に、モクモクとした入道雲。
そんな美麗な風景を毎日みることができればいいのですが、現実問題なかなかお目にかかることが少ないはずです。午後になれば空が霞みがかってきますし、夏の海もなんだかもやもやです。写真に生かせる幻想的な霧であればいいですが、せっかくのお休みに出かけるのであればそうもいかない場合がほとんどです。
そこで今回はLightroom CCの機能「かすみの除去」を使って、もやもやした写真をすっきり綺麗にするテクニックを紹介していきたいと思います!
撮影時のポイント
お昼前の時間でしたが、数百メートル先でも霧がかかったようなもやもやに覆われていたこんなシーン。これでも富士フイルムのX-T20で彩度ましましなVelviaで撮影しました。
撮影時に気をつけたポイントは、
- RAWで撮影する
- 太陽光が厳しく画面での確認が難しいためやや広角で撮影
- ハイライトが飛ばないようにAEブラケットで撮影
- ダイナミックな波がダイナミックに見えるようなタイミングで
といった感じです。波の泡の白が飛ぶか飛ばないか程度の素材が欲しかったのでAEブラケットを使って撮影しました。
現像の手順
完成した写真と並べてみました。
現場でみていた印象は、荒々しく岩場に押し寄せる波しぶきのダイナミックさ、切り立った岩肌、かすかに見える山々と雲が印象的だったので、それぞれの特長を生かしつつもやもやした写真をすっきりさせていきます。
現像の手順を並べると、
- 1. 現像の方向性を考える
- 2. ざっくりと「かすみの除去」を適用
- 3. プロファイルの設定、ホワイトバランス、全体の調整(基本補正)
- 4. 細部の調整
- 5. さらに全体の微調整
といった流れです。これだけかすんでいる写真だと最初にある程度かすみを取っておかないとプロファイルやホワイトバランスなどの効果もよく分からないのでこういった流れで作業しています。
現像してみる
1.現像の方向性を考える
今回大きく考えたのは以下のポイントです。
- 全体的なもやもやの除去
- 波しぶきを白飛びしないようにはっきりと調整
- 空を青くし、雲のモクモク感が出るように調整
- 切り立った崖を強調するように調整
2. ざっくりと「かすみの除去」を適用
全体的にもやに覆われている写真なので、まずはざっくりと「かすみの除去」を使ってもやもやをとっていきます。
「かすみの除去」はやりすぎるとコテコテの写真になってしまうので、全体がどぎつい写真にならないように、一番ハッキリと写っている箇所を基準に調整を行います。このときすでに+40に振っています。これでも足りないくらいですが、その他の調整を行うのでベースとしてやりすぎないくらいに留めておくといいでしょう。
「かすみの除去」は補助的なツールとしての使用を心がける
「かすみの除去」はとても便利なツールなので味をしめると多用しがちになります。
人それぞれではありますが、できるだけ基礎的なパラメーターを触って修正を行う方が、自分の中でテクニックを蓄積できるので、あくまで「かすみ」を消す場合にのみ使用するよう心がけるとちょうどいいと思います。
3. プロファイルの設定、ホワイトバランス、全体の調整(基本補正)
完成図を思い描きながら全体を調整します。
4. 細部の調整
波の白い泡にマスクを作る
そのままだと白飛びして見えてしまう波の白い泡にマスクを作ります。
まずは「段階フィルター」で適当にマスクを作りましょう。
「段階フィルター」の設定内の「範囲マスク」から「カラー」を選択肢し、スポイトを使って抽出したい色の適当な箇所をクリックします。
そうすればカラーに応じてマスクの範囲が限定され、簡単に白い箇所だけを選択範囲として抽出することができるようになります。
赤くなっている選択箇所はキーボードの「o」を押すことで表示・非表示の切り替えが行えます。マスクで調整する際は割と使うことがありますので、このショートカットキーは覚えておきましょう。
パラメーターを調整して、波のうねりを引き立たせます。
空にマスクを作る
続いて空にマスクを行います。
今度は「補正ブラシ」を選択し、「自動マスク」にチェックを入れた状態で空をなぞります。「自動マスク」にチェックを入れることで岩場にマスクがかかることなく簡単に選択範囲を作る事ができます。先程と同様に「範囲マスク」で作成してもいいでしょう。
「かすみの除去」を+10程追加し、その他のパラメーターを調整して空をすっきりさせました。
そんな形で他にもいくつかマスクを作って調整していきます。
5. さらに全体を微調整して完成です
部分的に補正を行うとそこだけが際立ってしまった写真になることが大体です。最後に全体を眺めつつ調整を行い、ちょうどいいバランスになったら完成です。
「かすみの除去」は使いすぎると空気感の乏しい写真になるので気をつける
「かすみの除去」はなかなか万能すぎる性能を持っているため、ついつい使いがちになってしまいます。
以前@TKLさんの運営されている「Imaging World」でも紹介されていましたが、写真の中で奥行きを表現する手法の1つに「空気遠近法」というのがあります。
「かすみの除去」を使いすぎると、もや感がまったくなくなり、空気感、遠近感の乏しい写真になってしまいます。適度なもや感は残すようにしておくと自然な写真になるので参考にするといいでしょう。
今回のまとめ
今回は「かすみの除去」を多用した現像テクニックでした。
せっかく旅行に出かけても、景色がもやもやだらけだったら写欲も上がらないと思います。そこで、こんな修正テクニックを覚えておき、補正を前提で撮影することができれば、後で写真を見返したときに楽しい思い出になりますね!1枚くらいはこんな写真があってもいいと思す!
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